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未来工芸に新しい仲間が印を捺しました

2010年7月23日 19:03


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2010年7月23日、未来工芸プロジェクトに新しいメンバーが加わりました。

古都金沢で百四十年の歴史を有する老舗はんこ屋 ツルミ印舗五代目彫刻人・鶴見昌平さんです。
完全手彫りにこだわる ツルミ印舗
未来工芸印鑑の印章(名前の彫刻)はすべて、このツルミ印舗さんに手彫りでお願いしています。


未来工芸で印鑑を開発しようというアイデアが持ち上がったとき、山中塗と九谷焼のコラボレーションという
外観の意匠ばかりに気を取られて、名前を彫る印章について、当初はかなり安易に考えていました。
コストによっては機械彫りを選ぶことも選択肢のひとつ、という意見もあったくらいです。

ところが開発も最終段階に来て、印鑑の名入れを調べるほど、そんな簡単なものではないことを痛感します。

書体の意味や歴史、画数や吉相、機械彫りと手彫りの違い・・・印章ひとつで印鑑の表情がガラリと変わる。
そこには5千年以上前のメソポアミア地方にその起源があったとされ(つまり人の歴史と共にある)、
日本でも古代から重用され続ける、とても奥深い『はんこの世界』が広がっていました。

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家宝という名の印鑑を作るのだから、印章も最高のクオリティにこだわりたい。

そう決めたものの、どれを選べばいいのか? それがなぜいいのか? どこがどう違うのか?
誰に聞いても詳しくは知らないし、ネットだけでは違いやクオリティも、いまひとつ伝わってこない。
そこで何件かとコンタクトを取ってみて、いちばんピンときた所に相談に出向いた。


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「文字には重心があるんです。」

ツルミ印舗を訪れ、五代目彫刻人の鶴見昌平さんと最初に話したとき、お聞きした言葉です。
文字に重心。じつに新鮮な視点。驚きでした。そうか、文字や名前には、重心があるのか。
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「何か書いてみましょう」そう言うと、お父さんである四代目鶴見健一さんが、半紙に筆を走らせた。
手彫りとは、すべてフリーハンドの手書きなんだ、筆さばきが流暢でじつに美しい、と感心している間もないほど
サラサラと書き上がる。

見せてもらってその仕上りの高さに驚く。名匠だから当然といえば当然なのだが、
その匠の技を目の前で見るとやはり凄いし、なにより文字に品格を感じる。

「名前を書かせたら(彫らせたら)、ウチのオヤジは名人。文字の重心や流れを見極めますから。
私はまだオヤジの域には達していません。いつか辿り着きたいですが、出来るかどうか・・・・」
昌平さん自身も、印章彫刻一級の腕を持つ現代の匠なのだと思った。

それがツルミ印舗と未来工芸のコラボレーションの始まりです。

印章のスペシャリストは、名前のスペシャリスト。
今回の鶴見さんの参加で、未来工芸に「名前」という奥深い領域が加わりました。
これからは印鑑だけでなく、表札の名入れの文字もお願いすることもできます。
例えば、こんなイメージに。
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名前の領域で、またそれ以外の領域で、鶴見さんとどんなことが起こせるか。楽しみです。
よろしくお願いします。
 ●ツルミ印舗